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プロジェクトの質は経営の質(1)

2016/02/01

企業はゴーイングコンサーンとして、その事業ドメインの中で事業目標達成のために活動を継続的に行っていく。そのために組織体制を編成し、各部門は規定された業務、機能を実行し、それは目標達成に向けて適切に管理される。これが定常業務におけるマネジメントである。経営は環境の変化や新たな目標・成果実現に向けて常に新たな施策を講じる。それは定常業務とは別の枠組みで成果達成を必達として実施される。これがプロジェクトである。

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PMI(Project Management Institute)が発行しているPMBOK(A guide to the project management body of knowledge)では、『プロジェクトとは、独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期性のある業務である』と定義されている。企業にとって、現実の問題の解決や状況の打開、将来に向けたうち手など、極めて重要な取組の成果の創造活動である。世の中のプロジェクトは成功確率が半分以下であると言われている。さらにIT関係のプロジェクトでは、成功するプロジェクトは全体の3割に満たないとも言われている。達成が必達である経営の施策が半分以下の確立でしか成功裏に実施されていないということになる。

プロジェクトの現場では、思うように機能しないプロジェクト活動、モチベーションの低いプロジェクトチーム、コミュニケションの低さからくるステークホルダー間の意思のズレや反目、そして疲弊しきったプロジェクトマネージャーの横顔を良く目にする。一体どうしてこのような望ましくない状況に陥るのか?

プロジェクトが経営の施策を実行するうえで重要な存在であるにも関わらず、経営者、トップマネジメントの関与が十分でないケースも多いようである。IT関係のプロジェクトの成功率が低い理由の一つが、この「経営の関与が十分でない」ということにある。ITに対して経営者が「ITはよくわからない」という理由から積極的に関わろうとしない傾向があり、マネジメントプロセスの主体から外れることが多く、結果的にプロジェクトマネージャーや担当者への依存、負担が多くなる。そして様々な状況の変化の中で苦しいプロジェクト運営を強いられることになる。

品質管理で日本に大きな影響を与えたエドワーズ・デミングは、組織や経営者の役割、責任について重要なポイントであると述べている。PMBOKでも、経営の責任、関与について記載されており、プロジェクトマネジメント上非常に重要なこととして認識されているものの、現実はなかなか難しいようである。

いかに経営者とプロジェクトが同一ベクトルにあり、双方の建設的な関与や協働の仕組みを作ることができるか? マネジメントのプロセスの充実も大切な要因ではあるが、それに加えてプロジェクトチームと経営者を含めた広義のチーム創りが大切だと考える。同じ枠組みの中にいるはずの経営者とプロジェクトチームが、依頼者と受託者のような関係になってしまうことが問題である。経営者は責任を取る必要性は頭では理解しているが、当事者意識がないことでプロジェクト成功へのキャスティングを手離すことになっているケースが多いと感じる。

プロジェクトチームに対して、「チームコーチング」を行う場合は、純粋なプロジェクトチームメンバーだけでなく、関係する経営者、上位マネジメントの方々を加えた広義のプロジェクトチームメンバーで実施することが多い。プロジェクト成功のために、経営者、上位マネジメント、プロジェクトマネージャー、プロジェクトチームの主要メンバーがお互いの役割を活かして成功へのプロセスを創出するチームとなる。プロジェクト立ち上げの段階でファーストセッションを実施し、成功を勝ち取るチームにセットする。どのような状況が訪れようと相互支援のもとでそれを乗り越えていく準備をして、プロジェクトは正式にスタートしていく。このチームは勝つチームとなります。